基礎代謝って何?

カラダロジックでは基礎代謝を計算するツールを複数用意しています。

「え、基礎代謝ってどの方法で計算しても同じじゃないの~?」と疑問に思った方もいるかもしれません。

答えは「いいえ」です。計算方法によって、基礎代謝は変わってきます

このエントリーではそもそも基礎代謝とは何なのか、それぞれの計算方法は何が違うのかを解説していきます。

目次

  • 01 基礎代謝とは
  • 02 基礎代謝量の計算
  • 03 ハリスベネディクト方式
  • 04 ミフリンセントジョール方式
  • 05 カニンガムの式
  • 06 二重標識水法
  • 07 最も正確な方法は
  • 08 計算方法の基礎代謝率の差
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基礎代謝とは

基礎代謝は生命維持に必要なエネルギー量のことです。かんたんに言うとヒトが何もしていなくても消費するカロリーのことです。

基礎代謝は体型により異なりますが、概ね1000kcal~2000kcalの範囲になり、1日の総消費カロリーの60%程度を占めます。

基礎代謝の中には、次のようなものが含まれます。

  • 心臓の拍動
  • 浸透圧の調整
  • 体温維持
  • 呼吸
  • 細胞の再生や修復
  • 脳・神経系
  • 血液の循環

多くの無意識(不随意)の運動は基礎代謝に含まれています。睡眠時にも代謝は起こっています。

基礎代謝の計測方法

実際の基礎代謝の計測は専用の施設・設備の中で、次のような厳しいルールのもとに行われていました。これは直接熱量測定法と呼ばれます。

  • ・最低8時間の睡眠後
  • ・暗い室内
  • ・リラックス状態
  • ・試験前から12時間の絶食
  • ・消化器官の完全な休息
 

基礎代謝は、十分な睡眠後、12時間前から継続する絶食状態で、消化器官は一切動いていない状態において、生命維持に最低限必要な拍動、体温維持などに消費するエネルギーを計測したものです。

一方で、より簡易な設備、薬品を用いて測定する間接熱量測定法と呼ばれる方法もあります。

基礎代謝量(BEE)と基礎代謝率(BMR)

基礎代謝は、そのエネルギー量を表す場合、基礎代謝量(BEE)か基礎代謝率(BMR)のどちらかが正しい表現になります。

基礎代謝率(BMR)は体重1kgあたりの1時間あたりの熱量のことです。基礎代謝量(BEE)はBMR/24時間のことです。実質的には基礎代謝率も24時間分の数値をいうので、どちらも同じ1日の基礎代謝に必要なエネルギー量を指しています。

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基礎代謝量の計算

わたしたちは直接計測することなく計算式によって、自分の基礎代謝のおおよその値を知ることが出来ます。

基礎代謝の計算には様々な式があります。代表的なものは次の通りです。

  • ・ハリスベネディクト
  • ・ミフリンセントジョ―ル
  • ・カニンガム
  • ・二十標準水法
 

それぞれには特徴や問題点があります。次項から1つずつ特徴を解説します。

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ハリスベネディクト方式

ハリスベネディクト方式は1919年に発表され、その後84年に改訂版が出ました。現在でも多くの場面で、このハリスベネディクトの改訂版が基礎代謝率の計算に使用されています。

しかしカラダロジックでは、ハリスベネディクトの改訂版のかわりに、リスベネディクトの日本版を用意しています。その理由はハリスベネディクトには、問題点があるからです。その問題点を以下に挙げてみます。

Harris-Benedict の式は全体として過大評価の傾向にある(特に全年齢階級の女性と 20~49 歳の男性で著しい)。厚生労働省

(ハリスベネディクト方式は)体重の履歴と民族性に基づく代謝の違いを考慮する必要がある。ピットマン総合臨床研究センター「ハリスベネディクト式の有効性は体重の変遷と民族性によって差異がある」

ハリスベネディクト改訂版にはこのような問題が指摘されています。だから、カラダロジックではハリスベネディクト方式の日本版の計算ツールを導入しています。

この日本版は民族性による代謝の差を考慮に入れたもので、より日本人に適した値が出るようになっています。

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ミフリンセントジョール方式

ミフリンセントジョール方式は1990年に発表されました。ハリスベネディクトの改訂版よりも信頼のできる計算式として、幅広く用いられています

ちなみに正確には、ミフリンセントジョール方式は元々HBを元にしているため、HBの再改訂版といえます。

ミフリンセントジョール方式の特徴として、ハリスベネディクト版よりも基礎代謝が低めに出る傾向があります。

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カニンガムの式

カニンガムの式はここまでに挙げたハリスベネディクトとミフリンセントジュールの欠点をある程度補う方法です。体脂肪率を用いることで正確性を高めた計算式です

カラダロジックでは、体脂肪率を把握していなくても、体重と身長を入力すればカニンガムの式の基礎代謝を計算できます

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二重標識水法

これは重水素水(2H216O)と酸素-18(1H218O)を混合した二重標識水を、人体に投与して計測する方法です。間接熱量測定法と呼ばれ、大掛かりな施設を必要としない計測方法です。

と言っても二十標識水は非常に高額で実験分野を超えて実用化されているわけではありません。

日本人の基礎代謝率の正確な計測方法として、日本医師会も、推定エネルギー必要量は、エネルギー消費量を計るもっとも正確な手法である「二重標識水法」という方法で導き出される、としている方式です。

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最も正確な基礎代謝の計算方法は

複数の基礎代謝の計算方法を挙げましたが、このほかにもスコフィールド法やWHO式など様々な方法があります(スコフィールド法はハリスベネディクトより更に数値が高い傾向)

最も正確な計算はどれかという点ですが、前述のように厚生労働省は、ハリスベネディクトを全体として過大評価の傾向にある(女性と20~49 歳の男性)、としています

つまり逆に50歳以上の男性ならハリスベネディクトが適切ということになります。

一方で女性と20~49歳の男性はハリスベネディクトより低い数値が出る計算方法を使うほうが正確です。それに該当するのは次の4つです。

  • ・ハリスベネディクト日本版
  • ・ミフリンセントジョール
  • ・カニンガム
  • ・二十標識水法
 

計算方法から見ると、二重標識水法は年齢と体重のみを使用するので、最も概算的です。残るのはハリスベネディクト日本版かミフリンセントジョール、カニンガムになります。体脂肪率を用いるカニンガムの式がて体重差による誤差が生まれに一番生まれにくい計算になります。

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計算方法による基礎代謝率の差

次にここまでに紹介してきた複数の方法で実際に基礎代謝を計算した場合、どの程度の差が出るのか比較してみます。

基礎代謝計算方法による差(女性25歳,160cm/50kgの場合)
種類基礎代謝
ハリスベネディクト改訂版 1297kcal
ハリスベネディクト日本版 1242kcal
ミフリンセントジョール 1189kcal
カニンガムの式 1195kcal
二十標識水法 1105kcal
スコフィールド式 1345kcal
Ganpule式 1285kcal
WHO式 1233kcal
 

前評判通り、女性の基礎代謝でハリスベネディクト改訂版は大きめの数値が出ています。もっとも高い値が出ているのはスコフィールド法(1985年)です。Ganpule式も同様に高めの数値です。

一方で二十標識水法やミフリンセントジョール、ハリスベネディクト日本版はやや低めの値が出ています。